彼女と別れて男の友情をとった相棒

秋葉原アイドル
これは、俺が高校生の時の話しです。
工業高校だった俺のクラスは、男ばかりの女っけの無い3年間で、彼女を見つけるにも、なかなか出会いのない学生生活でした。

遊ぶ相手はもちろん男同士。学校帰りに、ラーメン屋に立ち寄ってはラーメン2杯食べたり、ボーリングやビリヤードをしたりと、男同士ならではの楽しい日々を過ごしていました。

そんな俺の相棒は「K一郎」という、ちょっぴりオタク系の面白い男。彼とは、ほぼ毎日のように遊んでいた想い出しかない。
俺もK一郎もアイドルが大好きで、休みの日には、街まで繰り出してアイドルのイベントに行ったり、ライブに行ったりと、とにかく気の合う2人だったので、周りからも「お前ら、恋人同士みたいだな(笑)」って、よくからかわれていたものでした。

彼との出会いを少しお話しすると、それは入学式の次の日に遡ります。

当時は、あいうえお順の座席で座っていたので、ちょうど俺とK一郎が隣同士だったことから、彼との運命が始まっていたのかも知れません。
新しい環境で、皆がまだ周りとも馴染めない雰囲気の中、何を思ったのかK一郎が俺に話しかけてきたのです。

「あの~、アイドル好き?」俺は、突然の質問…というよりも、何て言う質問をしてくる変な奴だなぁ~と思ったのですが、アイドル好きだった俺はすかさず「おぉ~好きだよ!」と答えてしまったのです。
すると、K一郎はカバンの中から、アイドルのプロマイドを出して俺に見せびらかしてきたのでした。

その数は物凄い量で…その中には、俺が好きだったアイドルの生写真もあって、俺はすっかりK一郎と意気投合してしまったのです。
こんなきっかけで、この先何年も彼と友情を続けるなんて、その頃は思ってもいなかったはずです。

その日以来、K一郎とはアイドルの話ばかり。
休み時間は、あの子がこーだとか、この子がこーだとか、とにかく知っている知識を(…と言っても、当時は雑誌かラジオやテレビで知った情報しかなかったのですがね)永遠と語り合っていました。

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そんな日々を過ごしながら、3年間が終わろうとしていた頃です。
いつ?どこで?知り合ったものなのか、いまだに不明ですが、なんと、K一郎に彼女が出来たのでした。
しかも年下の彼女。

それまで毎日のように遊んでいた俺とも、少しだけ距離が出来た感じで、俺は寂しく思っていたのですが、それでもせっかく出来た彼女なのだから、幸せを優先するのが良いと思って、俺はバイトのシフトを少し増やしてK一郎と遊ぶ時間を少しづつ減らしていったのです。

俺の気遣いにK一郎も気付いていたのか、いつも「悪いな~」と謝ってくれていました。
それでも学校にいる間は、いつも一緒でバカ話ししたり、相変わらずアイドルの話で盛り上がっていました。
たまには、日曜日にアイドルのイベントにも一緒に行っていたのです。

そんな俺たちに対して、K一郎の彼女がヤキモチを妬いているという事が俺の耳に入ってきました。
K一郎からは直接聞いた訳ではないのですが…。もちろんK一郎も、俺にはそんな事は一言も言わないので、俺も敢えて聞かないようにしていました。

ある日のこと、前からK一郎と約束をしていたアイドルのイベントがあって、俺も久しぶりに遊びに行けると楽しみにしていたのですが…。
前日になってK一郎から行けないかも…という連絡があったのです。
もちろん俺は、彼女の事なんだろうと思って「わかったよ」とひと言だけ伝えて、そのイベントに行くことを諦めていました。

連絡があった2時間後…再びK一郎から電話があって「やっぱり明日行こう!」と言ってきたのです。
俺はすかさず「大丈夫なのか?彼女と用事あるんだろう?」と聞くと「あぁ~もういいんだ!別れたから!」と言ってきたのです。

俺はびっくりして彼に問い質すと…思いもよらない答えが返ってきたのです。

「彼女さ…私と男友達と、どっちかにして!って言ってきたんだ。俺は、どっちも大切だって答えたら、彼女は、どっちか選んでくれなきゃ別れるって言うから…俺はこう答えたんだ。俺の大切な友達を、大切に思わない女とは付き合えない、だから別れて友情を取るよ!って言ってやった」

俺はその言葉を聞いた時、心の中で涙が止まらなかった…。
なんてコイツ、カッコイイんだろうって思った。
もちろん、俺のせいで別れさせてしまったという罪悪感もあったのだが…。

せっかく出来た彼女と別れてまで、男の友情を取る奴なんて見たことないって思った。
それ以来、彼とは今でも真の友情で繋がっています。

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男にとって男同士の関係ってのは、恋愛とはまた別の価値観で考えるものだからな。
それを天秤にかけられたって困っちまうってもんだぜ。