同じ女を好きになった2人の男

かわいい女子大生
大学生だったころの俺の思い出を聞いてほしい。
俺にはいつもツルんでた友人がいたんだ。Wっていう男とAっていう女。
きっかけは1年のときのセミナーで一緒だったから。
全員出身地もバラバラで、最初はお互いの地元ネタで盛り上がった。
授業も合わせて取ったりして、3人で仲良くしてたんだ。
全員一人暮らしだったから、しょっちゅう誰かのアパートに遊びに行ったり、Wのバイト先にAと突然お邪魔したり。

それでまあ、お約束というかベタというか、俺とWはAのことを好きになった。
2年になったばかりの頃、Wと2人で飲みに行ってお互いに打ち明けた。
ただ、実はその頃Aには彼氏がいたんだ。だから俺らは話し合って諦めることにした。
「お互い辛いけど、これからもこの関係を続けるために2人だけの秘密にしとこうな。」
と言って男2人で朝まで飲んだ。
次の日Aには「なんで私を誘わなかったんだ。」と怒られた。
俺とWは顔を見合わせて笑った。これで良いんだとそのときは本気で思ってた。

それからも今まで通り3人で遊んでいた。Aは彼氏に「あの2人は本当に大好きな友達だから3人で遊ぶことに文句言うな。」と言っていたし、
俺らも彼女を作って「そうそう、Aとかもう女として見れねえよ。」なんて言っていた。
4年になるまでに全員彼女や彼氏が多少変わったりはしたが、3人の関係は全く変わらなかった。Aが彼氏と別れても俺らは抜け駆けしたりもしなかったし、Aは俺らの気持ちに気づいていなかった。
それでもAは俺らと遊ぶのを楽しいと言っていたし、俺らも友達としてAと遊べて楽しかった。と俺は思っていた。
ただ、なにかモヤモヤしたものはずっと残っていた。俺はそのモヤモヤには気づかないようにしていた。

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4年の冬、3人とも無事に卒論を提出して飲んでいたとき、トイレに行こうと席を立った俺の後をWが付いてきた。
そして決心したように「なあ、俺さ、やっぱりAに告白したいわ。」と言ってきた。
俺は薄々気がついていた。WがAのことを諦めきれてないことに。勿論俺も諦めきれなかったが、Wと約束した手前言えなかった。Wもずっと言い出すタイミングを探してたんだ。
俺は見ないふりをしていたモヤモヤと向き合うことにした。
「俺も、やっぱりAのこと好きだわ。今まで彼女も作って、もちろん彼女のことは好きだったけど、やっぱりまだAと付き合えたら、なんて考えたりもする。」
そのときはちょうど3人とも恋人がいなかった。しかも、Aは地元で就職を決めていた。
俺らは今日が最後のチャンスだと思った。

俺らは席に戻ってAの向かいに並んで座った。
Aは「なになにどうしたの?面接みたいだよ?」なんて言って笑っていた。
反対に俺らはガチガチに緊張してて何も言えなかった。
Aが不思議そうにしてる中、先に喋ったのはWだった。Wは俺よりも行動力があって、今回だって全部Wが先に決心したんだ。俺はWには勝てないと、心のどこかで思ってた。
それでも、俺だってAのことが好きなんだから、ここまで来たんだから、俺も覚悟を決めた。
「実は、俺はずっとAのことが好きだった。3人のこの関係を壊したくなくて言わないできたけど、もう卒業するんだと思ったら、今言わなきゃ後悔するって思った。俺と付き合ってほしい。」
Wの告白を聞いてAはぽかんとしてた。
その隙に俺も「実は俺も、Aのことが好きだった。俺はWよりも思いきりとかそういうの無いけど、それでもAのこと本気で好きだ。付き合ってほしい。」

マンガだとここでどっちかが選ばれてもう1人は身を引くのかもしれないが、結果は2人とも惨敗。
Aは「気持ちは嬉しい、ありがとう。けど、やっぱり2人は友達だなって思ってるから。ごめんね。ていうか、急にビックリするじゃん!もう!」と言って少し恥ずかしそうに笑った。
「なんだよー。私超モテモテじゃーん!」なんて茶化してもくれた。

それから俺たちは卒業して、Aは東北にある地元に帰って就職。俺とWは都内で就職した。
就職してからもWとはよく飲みに行く。年に2回くらいAとも飲みに行く。
Wとは「あの時告白しておいてよかった。」と言っている。あの日、俺の中にあったモヤモヤはきれいさっぱり消え去った。

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今時ジョータ笑顔
あるある! 好きな人が出来たけど仲間内の関係性を壊したくなくて告白できないってやつ!
結果は残念だったけど、ふたりともきちんと告白できて、しかも関係性も壊れなくて……良かったと思うぜ。