優しさだけじゃない男

塾の女性講師
俺がまだ高校生の時、俺は塾の先生を好きになってしまった。
相手は24歳という俺から見たら大人の女。
友人であるBにだけはいつもその先生の話をしていた。
Bには中学生から付き合っている彼女がいるし、姉も妹もいるから男兄弟の俺なんかよりもずっと女のことはわかっている。
そう思って、相談していたんだ。

俺が行っていた塾は個別の塾だから先生との距離がいつも近い。
先生は本当にいい香りがして、髪もサラサラ。
俺以外にもたぶん先生を意識している生徒は多かったと思う。
勉強なんて手につかない…というのが正直なところだったけど、
なにせ先生がついて成績が下がるなんて迷惑をかけるわけにはいかない。
そのために、いつも以上に俺は勉強をしていた。

漫画やゲームばかりやっていた俺を知っているBは、俺が勉強しているのを見て
本気なんだなって感心していた。
女一人でこうも変わるのかと笑ってもいたんだ。
確かに俺はマジでそういうことが今までになかったし、
いつも恋愛に関しては奥手で見ているだけで終わっていた。
でも、もっと相手のことを知りたいと思ったのはその先生が初めてだった。
だからと言って連絡先を教えてくれとかそういうことは言えないし・・・。
塾は週に3回はあるから、先生には週に3回は会えるということだ。
とりあえず俺はそれで満足しつつ、志望大学を目標に勉強に専念していた。

[ad_m]

ある日、Bが「俺の彼女に相談してみたらいいんじゃないか?」と言い出した。
俺は正直、Bの彼女が苦手だった。
かわいいことは認める。
でも、とりあえずうるさいんだ。
よくいえば、明るい女なんだけどめんどくさいんだ。
だけど、俺には女友達もいないし、女に話を聞いてもらえるっていうのはいいことかもしれない。
そう思って、次の日Bの家に行った。

部屋に入るなり、彼女はニヤニヤしながら俺に近づいてきた。
「好きな人できたんだって?」
妙に嬉しそうに話しだす。
「Bには詳しく聞いてないから教えてよ~。
どこの高校?近く?」
とにかく、もう質問攻めでせめてくる。
「いや…塾の先生。」
それにはめっちゃ驚いたのか
「え?何歳?」
「24歳・・・。」
するとまあ大きい声で
「えー!!マジで!年上すぎない?!」
その瞬間、やっぱり言わなきゃよかったと後悔した。
その後もぐだぐだ俺に言ってくる。
塾の先生とか難しくない?、制服女子がいいと思うよとかなんとか。
本当にああ言わなきゃよかったと思った。
するといきなり黙っていたBが立ち上がって
「ふざけんな。おまえ、外に出ろ。」
と自分の彼女を連れだした。

あんなに怒っているBは見たことがなくて驚いた。
彼女もしゅんとして黙って外に出てった。
しばらくしてBが帰ってくると俺に謝るんだ。
「マジ、あいつごめん。言葉選べない奴で。
もう空気読めないし。怒っといたから。
俺が言い出さなきゃよかったな。」
Bに彼女はどうしたのか聞くと
「泣いて帰った。」
と平然に言う。
「おまえ、追いかけなくていいのか?」
と聞けば、
「あいつは昔からああいうところがあるから、少し反省させた方がいいんだ。」
と男らしいこたえだ。
この堂々しているいでたちというかなんなのか、
自分の友人に失礼なことをするとピシッと怒れるその態度に
すっかり感心してしまった。
「俺はいいから彼女呼んで来いよ・・・。」
俺がうながしてしぶしぶ連れ戻しに行ったB。
その後は泣きながら彼女に謝られた。
そんなに謝ることじゃないと俺が言うほど、ちゃんと反省してたんだ。
なんだ、いい子じゃんって思った。
「ほんと、お前はバカだな。
こいつがマジで惚れてるなんてそうあることじゃないんだから。
ちゃんと真面目に相談にのってやって。」
と彼女の頭を撫でているB・・・。
俺はすごいいい奴だと思ったと同時に、こいつには勝てないそう思った。

結局話を聞いてもらい、
勉強で分からないことがあったら教えてほしい…という名目で
まずは電話番号を聞き出した方がいいと言われた。
それからはしょっちゅう3人で遊んでは、
Bは彼女に注意しつつも優しかった。

結局俺の恋はうまくいかず、連絡先はゲットしたものの
それ以上は何も進展はなかった。
だけど俺もBのように彼女に注意できるようなそんな男になりたいと
今でも思っている。
[ad_u]
今時ジョータ笑顔
学生時代の甘酸っぱい恋の想い出、か。
君のことも自分の彼女のことも、上手く立ててくれるBは本当に男らしいな。
身近に見本となる男がいると自分自身も成長しやすいと思うぜ。