これは私が、中学生時代から仲の良かった男6人組との友人秘話です。
中学の頃、毎日のように一緒に遊んでいた友達がいました。名前は、たけお、ともはる、あきふみ、よしかつ、たかし、そして私よしお。
遊びといっても、学校帰りに誰かの家に行って、ただただ話しをしているだけだったのですが…その頃の私達にとっては、そんな毎日がとても楽しくて、思い出に残る日々でした。
当時、音楽と言えば「ビートルズ」や「チェッカーズ」「尾崎豊」…そして「サザン」が流行っていて。年代で歳がバレちゃいますね(笑)ギターを弾きながらサザンを歌ったりして、まさに青春時代真っ只中って感じでした。
中学を卒業し、それぞれバラバラの高校に入学することになったのですが、それでも学校が終わると、中学時代のように、誰かの家に集まっては、たわいのない話しで盛り上がっていました。
年頃っていうこともあって、もちろん女の話しだったり、エロの話しだったり…まぁ~悪いことをする訳ではなかったので、健全と言えば健全だったのかもしれませんね。
高校生ともなれば、ある程度、外出も自由になっていたので、週末なんかは朝まで語り合ったり…歌ったり…。今思えば、親たちもさぞかし迷惑だったでしょうね(笑)当時は、携帯電話なんて、まだ無い時代でしたから、こうして会って話すという時代だったのかもしれません。
高校生活の3年間…誰一人、彼女すら作らず(正確には出来なかった…とも言えますが)、ほぼ毎日のように会っていました。
高校3年生の終わりになって、それぞれ就職・進学が決まり、ついに地元から離れる時が来てしまったのです。
たけおは自衛隊へ入隊することになり、ともはる、たかし、そして私は大学へ進学。あきふみとよしかつは就職する事になりました。
地元を離れると言っても、あきふみ以外の5人は会おうと思えば会える距離だったのですが、あきふみだけは、盆と正月くらいしか会えない都会へと就職することになったのです。
中学2年の時に6人が出会ってから、高校を卒業するまでの5年間、ほぽ毎日のように会っていた仲間との別れ…。思春期を一緒に過ごした5年間は、私達にとってはかけがえのない友情だったのかもしれません。
とにかく最後の1ヶ月は、とにかく時間を見つけては会って語っていました。まるで、彼氏と彼女のような関係ですよね。
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そして、あきふみが旅立つ前夜…
いつものように…いや、いつものはちょっと違った雰囲気で6人が、あきふみの家に集まったのです。
いつもなら、どうでもよい話で盛り上がっているのですが…その日は、誰一人、口を開こうとはしませんでした。
何時間経ったのでしょうか…ただただ沈黙の中、それぞれが雑誌を読んだり、音楽を聞いたりしてしたのですが、突然、あきふみがギターを手に持ち歌し出したのでした。
それは、サザンの「いとしのエリー」でした。
♪泣かしたこともある・・・冷たくしてもなお・・・
よりそう気持ちがあればいいのさ・・・
あきふみが歌い始めて、しばらくすると、たけおが歌し出し…そしてともはるも歌い…気がつけば、全員が口ずさんでいたのです。
それも…全員の目からは大粒の涙を流しながら…
その歌は、何回も何回も繰り返され…
そして、あきふみがギターを弾くのを止めた時…
「みんな、ありがとうな・・・いままで本当にありがとうな・・・」って
あきふみが5人と握手を交わし、その日が終わりました。
翌日、駅のホームには、家族の他に我々5人の姿もあって…
前日の涙の場面もあったので、その日はさすがに清々しい気分ではあったのですが…
電車の出発の時間になって…
これでついに本当にしばらくお別れって思った時…
誰が始めたのかわかりませんでしたが…
再び、いとしのエリーを口ずさんだのです。
他のお客さんも当然いる中…
涙声で歌っている光景は、さぞかし不思議な空間に思われたかもしれません。
ただ私達にとっては、その歌で彼を見送る事しか出来なかったのです。
5年間の思い出が、頭の中を駆け巡りました。
一緒に笑ったこと、泣いたこと、怒ったこと…
全部、全部、思い出です。
30年近く経った今でも「いとしのエリー」を聞くと、あの頃の思い出が頭の中に蘇ってきます。
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6人の間では「いとしのエリー」がお互いを繋ぐ絆だったんだな。
ほかの誰にも分からない、仲間だけの繋がりがあるのって羨ましいぜ。