何のために仕事をしているのか?

空を見上げるサラリーマン
最近までは仕事がうまくいかなくなってちょっと落ち込むことが続いていた。
家と仕事の往復に飽き飽きしている状態。
まあ、それなりに仕事は頑張っているつもりではあるけど
彼女もいない、とりあえず仕事だけの毎日の俺は少々うんざりしている。

俺のサラリーマン人生、今が25歳だから60歳までまだ35年もある。
転職するなら30代までと,なんとなく聞いたことがあったからこそ、
転職することについても悩んでいる。
今の仕事は営業で毎日ペコペコ頭を下げるのが仕事だ。
別に人と関わることが好きじゃないが、たまにふと、
俺なんで頭下げてるんだろう、俺なんで仕事してるんだろう・・・。
なんてそんな言葉が頭の中をよぎりながら頭下げている時もあるんだ。
そういう時に限って工場勤務のあいつと飲みに行きたくなる。

ちょうど一か月前、高校時代から仲良くしているあいつ(M)と飲みに行った。
Mはとにかく酒に弱い男でいつも俺が肩を貸して帰ることが多かった。
Mは高校を卒業して働き始めた、高卒就職組だ。
「俺は人と接する仕事には向いていないから、工場で働くのが向いている」
あいつはもう高校2年生からそういった進路を自分で決めていた。

当時、Mには看護師のお母さんとまだ小さな妹がいてバイトしながら、家を少しでも支えようとしていた。
そういった環境の中、Mは愚痴一つもらさない。
愚痴を言ったって何も変わらないと、よく高校の時から言ってたんだ。
ただ、今の目標は風呂とトイレが別になっているところに、家族と住むということだと言っていた。
バカげてるとお前は笑うかもしれないけど、妹も大きくなることを考えたらそれが俺にとっては重要なことなんだと言っていた。
俺はいつも黙ってMの先々の目標を隣で聞いていた。

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俺は本当に普通だ。
大学に入り、普通に大学を卒業して普通に営業のサラリーマンになった。
特に人と接するのが好きというわけでもなんでもない。
俺がその会社に勤めたのは「なんとなく」だ。
とりあえず、親にいちいち「今日何時に帰るの?」と言われるのがめんどくさくなったから
家を出た。
俺はMみたいに別に背負うものもなく、目標にするものがあるでもない。
でも、Mは「営業ってすげーな。俺にはできないと思う」とか
そんなことを酔っぱらったらいつも言っていた。
その言葉を聞くたびになんかほっとする自分がいて、ついつい1か月に一度は飲みに誘っているんだ。

俺の転職の話を相談しようとまた飲みにでも誘おうと思っていたら
いきなりMから連絡きた。
Mから誘われることはほぼなかった。
営業で忙しい俺が暇な時にでも誘ってくれと言われていたんだ。
その時はものすごく低い声で
「今日空いてるか?」
と言われた。
俺はその日は10時くらいまで仕事があるから厳しいと伝えても
どうしても酒に付き合ってほしいと珍しく言ってきたんだ。
何事かと思って仕事を終えて飲み屋に着くと
カウンターですでにベロベロになったMがいた。

おい、大丈夫か?という問いかけに返事はない。
空になったビールの空き瓶が2本置いてあった。
酒が弱いくせにとりあえず飲んだらしい。
でもいきなりすごい勢いで話し出した。
母親が再婚すること、再婚相手がめっちゃいい人らしいこと、妹がその人になついていること、家を出たこと・・・
ベラベラベラベラ・・・・。
「もう、洗面所とトイレが別の部屋に住んでるよ。
再婚相手がマンションなんか用意してくれたらしくて、幸せそうなんだよ。
俺が工場勤務する必要もなくなったわけだ」
友達はちびちび酒飲みながら寂しそうに言った。
目の前に背負うものがなくなってホッとしているのかなんなのか、
そんな友達がその時はめっちゃ小さく見えた。

俺はとりあえず一杯飲みながらまずは今度合コン行こうと話をしていた。
俺たちって真面目だと思ったんだ。
もっとこう・・・遊んだ方がいいらしい。
こういう時こそ、女が必要な気がするよ。
「俺なんで働いてるんだろう・・・」
ぼそっとMが言うから
「ああそれ!俺も何回も頭ン中で叫んでるやつだ!」
と笑いながら言ってやった。
そんなの俺にもわからないんだ。
でもとりあえず俺たちに必要なのは
今は仕事より何より女だって言って笑っていた。
俺にも今は転職より女が必要なのかもしれないな。

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今時ジョータ
人生には目標が必要だ。
だけど、その目標がある日突然なくなってしまったらどうする?
新しい目標ができるまで、寄り道するのもまた、人生。
女生徒遊んでいるうちに新たな目標が見えてくるかもしれないね。