諦めなければ夢はかなうもの・・・

無人の柔道場

この体験談は、僕が高校生時代に体験した熱い友人の泣ける話です。
僕は高校の3年間、柔道部に入っていました。僕の通っていた学校は、県でも優秀な成績を収める柔道の名門校で、県外からも推薦で入学してくる奴や、中学の時から柔道をやっていた連中ばかりの学校でした。
そんな僕も推薦で選ばれた1人で、1年生の時から県大会に出場していて、それなりの成績を残していました。

同じクラスの友達で、中学の時から同じクラスメイトだった奴がいます。
彼は推薦ではなかったのですが、僕が推薦で決まった学校なので「俺も自力で受験して合格するよ!」と言って、必死で勉強をし、合格した男でした。
彼も柔道部に入部したのですが、何せ中学時代は吹奏楽部だったので、柔道の経験はほぼゼロ。僕がたまあに教えてあげる程度しかわかっていなくて…それなのに、彼はどうしても僕と同じ柔道部に入りたいと言って入部してきたのです。

当然、柔道の名門校ですから、練習もハードで朝は早いし、夜も遅くまで練習をしています。
そんな環境に彼は付いてくるのがやっとって感じでした。僕は、何度も彼には無理だから、諦めて吹奏楽部に入部しなよと勧めていたのですが、彼はどうしても僕と一緒に全国大会に行きたいという夢があったのです。

そんな彼を僕は影ながら応援していました。
体格のデカイ奴らがいる中で、けして彼も小さい方ではないのですが、基礎体力が違い過ぎていつも投げられ役になってしまい、ある意味、周りからもバカにされる存在になっていました。
それでも俺は彼の事を守ってあげながら、周りに負けないように力づけていました。

そんなある日、僕が法事があって、どうしても休まなきゃならない日が1日だけあったのです。
法事が終わり次第学校に行こうと思っていたのですが、久しぶりに親戚同士が集まったのもあってなかなか抜け出せず、かなり遅くなってから、学校に向かいました。
学校に到着してすぐに着替え、道場に行くと、少し慌ただしい雰囲気が漂っていました。
すると、同級生の友人が俺のとこにやってきて、彼が練習中に怪我をして救急車で運ばれたというのです。

命には別状はないのですが足の骨を折ってしまったらしく、今期は絶望的だということでした。
僕はびっくりして再び着替え、彼の病院に向かいました。面会時間ギリギリでしたが、何とか間に会って、彼と会うことが出来たのです。

「よぉ~大変だったな!びっくりしたよ、どうだい調子は?」
僕が病室に行くと彼は痛々しい顔をしながらも嬉しそうに微笑んでくれました。
「いや~参ったよ~。今は、痛み止めで落ち着いているけど、しばらく入院しなきゃダメみたいなんだ」

それでも足の骨折で済んだから良かった。一歩間違えれば、頭から落ちていれば命取りになってしまう。
やっぱり彼に柔道は合ってないのかも・・・。僕は、これで彼が諦めてくれれば良いと思っていた。

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それから数ヶ月が経って彼もすっかり元気になり、学校に復活してきた。
柔道は諦めてくれたかと思ったら、リハビリをしながら続けると言ってきた。僕は、絶対無理だから止めた方がいいと何度も説得をしたのですが、なかなか言う事を聞いてもらえず。

そして僕たちは、3年生の最後の大会を迎えた。
メンバーの中には、彼は入っていなかった。それでも彼は、補欠として登録してもらい、最後の大会を一緒に迎える事ができた。

試合が始まる直前、メンバーの一人が対戦相手の生徒とトラブルになり、試合に出られないというアクシデントが起こってしまったのです。
当然、補欠からメンバーを出すのですが、最後の大会という事もあって、なんとか3年生だけで試合をしたいという気持ちの中…彼が出場することになったのです。

団体戦の先鋒として彼は、初めて大会の場に立ったのです。
僕は見ていられず、とにかく落ち着け、落ち着けと彼に願いました。
試合が始まり、相手に押され気味だった彼が、なんと払い腰で一本勝ちしてしまったのです!
周りがびっくりするほどの大声援に包まれました。
そして僕たちの学校は、彼のおかげもあって優勝する事ができたのです。

後から聞いた話では・・・
実は、彼は誰も見ていない所でこっそりと練習をしていたのです。
もしかすると、最後にこうなる事をわかっていたのかもしれません。
僕の部屋には今でも、優勝した時に撮った彼との記念写真が飾られています。

人間、諦めなければ・・・夢はかなうものなんだなって思いました。
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今時ジョータ笑顔
普段はこっそりと努力をし続け、ここ一番では大活躍を魅せてくれる……。
彼は男として最高にカッコイイ存在だよな。
大会優勝した後の彼の夢はなんなのか……ちょっと気になるぜ。